NAO鍼灸院

その他の症状

もくじ

①疲労回復
②ストレス解消
③健康維持・増進

①疲労回復

疲労とは
 疲労は「疲れ」とも表現され、痛みや発熱と同様に「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」という人間の生体における警報のひとつです。疲労は、人間が生命を維持するために身体の状態や機能を一定に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)のひとつとして、痛みや発熱などと並んでそれ以上の活動を制限するサインとして働いています。

疲労の定義
 日本疲労学会では、「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義されています。疲労は、心身への過負荷により生じた活動能力の低下のことを言い、思考能力の低下や、刺激に対する反応の低下、注意力の低下、注意散漫、動作緩慢、行動量の低下、眼のかすみ、頭痛、肩こり、腰痛などがみられます。

疲労の原因
 自律神経の中枢部では、身体の器官や組織の調節を行い、絶えず生命維持のための身体機能を一定に保っています。運動時には、運動強度や体調に応じて呼吸や心拍、体温などの機能の調節を行っており、身体へかかる負荷に合わせて生体機能のコントロールを行う自律神経の中枢も働き続けます。運動によって体にかかる負荷が大きくなるほど、自律神経の中枢にかかる負荷も大きくなり、自律神経の中枢がある脳がダメージを受けることで疲労が起こるとされています。

 疲労を起こすのは活性酸素による酸化ストレスで、神経細胞が破壊されるからであると考えられています。運動などのエネルギーをたくさん使う活動では、酸素が多く消費されるとともに活性酸素も多量に発生します。活性酸素が発生すると、活性酸素を分解して体内から除去する抗酸化酵素が働くようになっていますが、発生する活性酸素の量が抗酸化酵素の働きを上回ると自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労へとつながります。

 加齢や紫外線を浴びることは活性酸素の影響を受けやすくなるため、疲労が起こりやすくなります。睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群も疲労を蓄積させる原因となることが言われています。

乳酸は疲労物質か?
 「乳酸は疲労物質」という考え方がされていましたが、現在では乳酸が疲労を起こす物質であるという考えは間違いであるとされています。疲労した筋肉では乳酸の濃度が高くなり、筋肉のパフォーマンス低下がみられるけれども、乳酸がパフォーマンスの低下をもたらすのではないとされています。

 最新の研究では、高負荷の運動時に、糖質がエネルギーとして使われる際に乳酸が産生され、筋肉の細胞のエネルギー源として再利用されることがわかっています。運動中の脳内でも神経細胞のエネルギー源として乳酸が働くことも確認されています。

疲労と病気
 疲労によって身体の機能を一定に保つ恒常性が乱れると自律神経失調症の症状がみられるようになります。疲れが蓄積すると防衛反応としてステロイドホルモンが分泌されます。ステロイドホルモンが多量に分泌されると、血管の老化による動脈硬化やインスリン抵抗性による高血糖・肥満などのリスクが高まり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、メタボリックシンドロームにかかりやすくなって心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。ステロイドホルモンは免疫を下げる作用もあり、さらに疲労が蓄積することで免疫系が働きにくくなり、がんの進行から身体を守る防衛機能も低下します。

自分でできる疲労の回復方法
 1.睡眠
 良質な睡眠をとることが疲労回復に最も効果的であるとされています。1日3食のバランスのとれた食事を摂り、生活リズムを整えること、食事は眠る時間の3時間前に済ませておき、眠る1~2時間前に8分程度、38~40度のぬるま湯にみぞおちの辺りまでつかることが質のよい睡眠を招きます。

2.食事
⑴イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)

 疲労の原因となる活性酸素による酸化ストレスを軽減させる(抗酸化作用)、イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)を効果的に摂ることもよいとされています。
 イミダゾールジペプチドは鶏の胸肉やマグロやカツオの尾びれに近い筋肉に含まれています。疲労を自覚している健常成人207名 (日本) を対象に鶏胸肉由来のイミダゾールジペプチド含有ドリンクを8週間摂取して効果を調べた研究から、1日200mgのイミダゾールジペプチドを摂ることが疲労を軽減することがわかっています。

 イミダゾールジペプチド200mgは鶏の胸肉100gに含まれています。鶏の胸肉の調理法としては蒸す、茹でる、焼くが適しており、直火での長時間のグリルは成分が変質するので適していません。鶏の胸肉を蒸す、茹でるなどにより出た水分もスープなどで摂ると水に溶けたイミダゾールジペプチドを摂取することができます。

⑵ビタミン
 ビタミンは、組み合わせることで互いの働きを助け合ったり、効果が高まったりします。例えば、ビタミンEとビタミンCを一緒にとることによって抗酸化作用が高まり、細胞膜や生体膜の維持効果がアップします。またビタミンCは、鉄分の吸収を助け、体内においても鉄分が有効に利用されるように働くことが知られています。それぞれのビタミンの特性を活かし、ビタミンがより効果的に吸収できる組み合わせを工夫して活用しましょう。

疲労回復の決め手は、ビタミンB群
 栄養素からエネルギーを生み出すエネルギー代謝「TCAサイクル」にはビタミンB1やB2、B6などのビタミンB群が欠かせません。特に重要なのは、主要なエネルギー源である炭水化物を分解してサイクルに取り込む過程で必要とされるビタミンB1です。ビタミンB1は発熱や過労時に多く消費されるため、疲れたときには不足した分を補って、エネルギー代謝を助けてあげましょう(図1・図2参照)。

ビタミン摂取の理想的な組み合わせ
ビタミンE・ビタミンC 抗酸化作用がアップする
ビタミンB1・ビタミンB6・ビタミンB12 お互いの働きを高める
ビタミンB2・ビタミンB6 ビタミンB6がビタミンB2の働きを高める
ビタミンC・鉄 ビタミンCが鉄の吸収を助ける
ビタミンD・カルシウム  ビタミンDがカルシウムの吸収を助ける

3.適度な運動
 ストレッチなどの軽い運動は、疲労回復に効果的です。ストレッチは、縮んだ筋をゆっくり伸ばすことにより、血流を良くし、その結果、酸素および栄養補給が筋の隅々まで行き渡り、疲労の回復を早めます。
筋肉を使わないでいると筋力が低下し、疲れやすくなります。疲れにくいカラダ作りという点でも適度な運動は必要です。
また、よい睡眠に繋がるだけでなく、ストレスの解消にも効果があり、気分もリフレッシュされます。
また、ラジオ体操を間違いなくしっかりすることも疲労回復や病気予防に効果絶大です。ラジオ体操には、全身の400以上の筋肉をまんべんなく使うといわれています。代謝をアップさせて血液やリンパの流れを促進させることで、全身のコリや疲労も解消していきます。

鍼灸院での治療
 鍼灸の治療は疲労回復に効果があります。
鍼灸治療は筋肉を緩めることが得意で、他覚的にも直後効果として筋肉が柔らかくなることを触知できます。肉体的な疲労はつまり筋肉の緊張なので、鍼灸治療を受けることは疲労回復に大きな効果があります。首や肩がこる、腰がスッキリしない、目が疲れるなどの症状は改善を治療直後に実感していただけることが多いです。
 また、鍼灸の治療は自律神経の調整に効果があります。
自律神経の働きを整える(主に副交感神経の働きを優位にさせる)ことで、睡眠の質が高まります。また、胃腸の調子が悪い・手足が冷える、などの症状も自律神経の働きから受ける影響が大きいので、改善の方向へ向けることが出来ます。

 東洋医学である鍼灸療法には「未病を治す」という概念があります。つまり、病気になってしまう前に心身の不調を治しましょう、という考え方です。鍼灸医学は自然治癒力を高める治療方法なので、免疫力を高めることでさまざまな症状の予防ができます。つまり、症状が悪化しないように、そして病気にならないように治療することが一番大事です。気になる症状が悪化してしまう前に一度ご相談ください。
図1
図2

②ストレス解消

ストレスとは?
 外部からのさまざまな刺激(ストレッサー)によって心や体に負担がかかることで、心身に歪みが生じることをストレスといいます。ストレスは、不眠やうつ、胃痛や頭痛、さらには胃・十二指腸潰瘍など、心と体に不調を引き起こします。
表1はストレス度チェックです。どの程度自分がストレスがあるかをチェックしてみましょう。それでは自分に当てはまるものが幾つあるか、確かめてみましょう。

ストレスの種類
 人は生きていく上で、見たり、聞いたり、味わったり、臭ったり、肌で感じたり、心で感じたり、様々な出来事を経験したり、周囲の人や動物や物から受ける影響等、全ての事がストレスになり得ます。それらストレスの種類を、大きく次の5つに分類できます。
物理的ストレス
(環境的ストレス)
機械的な騒音、振動(電話の音、電車やトラックが通過する時の振動)、寒さ暑さ、煩雑なオフィス等外界から受けるストレス。
化学的ストレス コーヒー、お酒の飲み過ぎ、タバコの吸いすぎ、薬物、食品添加物等で身体が影響を受けるストレス
生物的ストレス 細菌、ウイルス、カビ、花粉等、感染症やアレルギーの原因部質によるストレス。
社会的肉体的ストレス 避けられない過密社会での生活や会社の歯車的役割(出張、通勤、接待)。政治経済問題、家庭内の問題(嫁姑問題、夫婦間係、子供の教育や進学、)老人問題等生活上のストレス。
心理的ストレス 個人の性格や受け止め方の違いがあるが、仕事や生活上の出来事や人間関係における問題によるストレス。

ストレスを起こす日常生活から考えられる原因

1.仕事の量や質
 仕事が多い、仕事時間が長く休日が少ないなど量によって生じるストレスがあります。また、やりがいが感じられない、ノルマや責任が重い、技術的に難しいなど、仕事の質によってもストレスを感じます。仕事が忙し過ぎたり、合わなかったりするとストレスが生じますが、逆に暇すぎてもストレスが生じることもあります。

2.人間関係
 職場やプライベートな場でも、人間関係によるストレスは大きなダメージを与えます。職場で感じるストレスの原因の第一位に、人間関係が挙げられているほどです。

3.現代人に多いテクノストレス
 パソコンが苦手でなじめないテクノストレスは、現代社会に適応できない不安とか焦りや、同じ姿勢で長時間にわたりモニターを凝視、操作し続けることなどから起こります。逆に、パソコンのない生活に不安を感じたり、人間同士のあいまいさに我慢がならなくなり人づきあいに支障をきたすといったテクノ依存症というストレスもあります。

4.ストレスを溜めやすい性格
 競争心が強く、攻撃的でせっかちな人、真面目で何事も完璧にこなさないと気が済まない人はストレスが溜まりやすいといえます。また、緊張や不安、不快な感情などをストレートに表現できず、自分の感情を抑えたまま、過剰に適応しようとする人もストレスを溜め込みやすいタイプです。

5.睡眠不足
 睡眠によって心身を休めることで、ストレスを癒すことができます。しかし、何かのきっかけで睡眠不足が続くと、それ自体が大きなストレスになり、今度は不眠を引き起こすという悪循環に陥ることがあります。

ストレス症状
⑴ストレス初期症状
ストレス初期から出現する症状は次のものがあります。
1.目が疲れやすい
2. 肩がこりやすい
3. 背中や腰が痛くなる
4. 朝、気持ち良く起きられないこと
5. 頭がスッキリしない(頭が重い)
6. たちくらみしそうになる
7. 夢をよくみる
8. 手、足が冷たくなることが多い
9. 食べ物が胃にもたれることが多い
 ストレスは、身体や心の働きの中でも特にストレッサーの攻撃に弱い部分に現れ、機能障害を起こすと報告しています。その部分は一人一人違っており、循環器に問題を起こす人や、消化器に問題を起こす人、頭痛に悩まされる人等様々です。

⑵慢性ストレス状態
 ストレス状態が持続し、それが慢性ストレス状態になってしまいますと、次の様になります。
1.なかなか疲れがとれない
2. 何かするとすぐ疲れる
3. 腹がはったり痛んだり下痢や便秘がよくある
4. 少しのことで腹がたったりイライラしそうになる
5. ヒトとあうのがおっくうになった
6. 仕事をする気が起こらない
7. 口の中が荒れたりただれたりすることがよくある
8. よく風邪をひくしなかなか治らない
9. 舌が白くなることがある
10. このごろ体重が減った
11. 深夜に目がさめた後なかなか寝付けない
12. 好きなものでもあまり食べる気がしない
 この様に、更に症状も深刻となり、心や身体に問題が出現し、生活にも影響を及ぼすようになってきます。

ストレスが引き起こす疾患
1.胃炎 
急性胃炎  食べすぎ飲みすぎやストレス、ウイルス、ピロリ菌の感染、食中毒、アレルギーなどが原因で胃の粘膜がただれ、みぞおちが突然キリキリと痛むことがあります。胃痛の他に、吐き気や下痢をともなうこともあり、ひどい場合は嘔吐や吐血、下血を起こすこともあります。多くの場合、安静にしていれば2~3日で治まります。
慢性胃炎  原因の約8割がピロリ菌の感染によるものですが、その他、非ステロイド性抗炎症薬の副作用や慢性的なストレスなども原因になると考えられています。胃の粘膜が弱まり、炎症が繰り返されて治りにくくなっている状態です。突然胃痛や吐き気が起こり、多くは胃もたれや胃痛、胸やけ、膨満感、吐き気、げっぷなどの症状が慢性的に繰り返され、胃潰瘍に進行することもあります。
神経性胃炎  仕事などによる精神的なストレスや過労が原因となり、自律神経がバランスを崩して起こる胃炎です。ストレスを受けて、自律神経がバランスを崩すと胃酸が過剰に分泌され、気分がふさぐ、のどがつかえる、胸やけがする、胃が痛むなどの症状を引き起こします。

2.胃潰瘍
 ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが胃粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が胃粘膜や胃壁を消化することにより起こります。特徴的な症状は、みぞおち周辺のズキズキとした重苦しい痛みです。胃潰瘍は胃に入った食べ物が潰瘍を刺激して痛むので、食事中から食後の痛みが多くなります。その他、胸やけや胃もたれをともないます。

3.十二指腸潰瘍
 ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を消化することにより起こります。

4.過敏性腸症候群
 精神的ストレスや情緒不安定などが原因で、腸のぜん動運動に異常が起こり、腹痛をともなう慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。ときに下痢と便秘が交互に起こることもあります。何週間も下痢が続いたり、一時的に治まり、その後再発するという現象を繰り返すこともあります。検査で調べても、目に見える異常が認められないのが特徴です。

5.不眠症
 とくに疾患が見当たらないのに、床についてもなかなか眠れない、熟睡できず途中で何度も目が覚める、朝早くに目覚めてその後寝付けない、悪夢にうなされるといったこともあります。熟睡できないため疲労感がとれず、朝起きる気力が出ないなど日常生活に支障をきたすような状態が続くのが不眠症です。

6.うつ病
 特別な疾患がないのに、だるさや疲れがとれず、気力が低下したり、落ち込んだりして興味や楽しい気持ちを失い、それを自分の力で回復するのが難しい状態に陥るのがうつ病です。食欲の減退、睡眠障害、集中力の低下をはじめ、体の動きが鈍ったり、逆にイライラして焦る気持ちが強くなったり、疲れが激しくなるなど、心と体の双方に症状があらわれます。

7.自律神経失調症
 ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれた状態です。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルや、多汗、全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などの症状があらわれます。あらわれる症状は人によって大きく違うのが特徴です。

日常生活でできる対処法
1.呼吸で自律神経のバランスを整える
体の力を抜き、お腹をへこませながら息をゆっくりと吐き続け、吐き切ったら息をいっぱいに吸い込む腹式呼吸を繰り返す習慣をつけると良いでしょう。自律神経のバランスを整え、リラックス状態をつくり出すことができます。

2.ゆっくり休む
ストレスには、十分な休息が必要です。「怠けている」と思わず「いますべきことは休むこと」と割り切って、気持ちを楽にして何もしない時間をつくるように心がけましょう。


3.ストレスの芽を早めに摘む
 目の前のことだけに集中する、気がかりなことは紙に書いて頭に残さない、休日は仕事を忘れて過ごす、悩みがあったら親しい人に早めに相談するなど、自分なりの対処法を身に付けて、ストレスが溜まらないうちに解決するようにしましょう。

4.質の良い睡眠をとる
 質の良い眠りがストレスから心身を守ることに繋がります。寝る前は、重すぎる食事や過度のアルコールは避け、リラックスして嫌なことは考えないようにしましょう。就寝前に、ぬるめのお風呂にゆっくり入るのも効果的です。

5.メンタルトレーニングをする
 ストレスに負けない心をつくるには、自分と向き合うことが大切です。ストレスの原因がどこにあるかなど現状の問題点を冷静に洗い出してみましょう。ひとつのことに集中して全力を注ぐ、プラス思考を心がけてネガティブなことを言わない、成功した自分を繰り返しイメージするといった方法も効果的です。急に考え方を変えるのは難しいものなので、無理をせず少しずつ始めると良いでしょう。

鍼灸院での治療
 鍼灸の治療は、ストレス解消に効果があります。
身体と心は互いに影響し合っているので、身体の症状が軽減することで心のストレスが減り、心身共にリラックスすることが出来ます。心と体がリラックスすることで自律神経の働きが整い、それにより更に自然治癒力が高まる(より健康状態になれる)という良い循環(スパイラル)に出来るのです。
「未病」と呼ばれる「未だ病ならざるもの」を早い段階で治療する。つまり、病気になる前に治療する。鍼灸治療は「病気の予防」として効果を発揮することができます。心身にストレスを感じているならば、それを軽減させるため・悪化させないため・毎日の生活をより心地良くすごすためにも、鍼灸治療を受けてみてはいかがでしょうか?どのような症状でも、ぜひ一度ご相談ください。
表1

③健康維持・増進

健康の定義
 WHO憲章では、その前文の中で「健康」について、次のように定義しています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

訳;健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)

解説;健康とは病気やや虚弱でないというだけではなく、身体の体力値が高く、知的には適切教育を受け、社会的(家族、地域社会、職場)には豊かな人間関係があり、精神的にも安定している状態である(精神的健康・社会的健康・身体的健康のバランスがとれた状態)というものだといえるでしょう。

日本の現状
 日本は、2007年に諸外国に先駆けて超高齢社会へと突入しました。
日本は現在、高齢人口の急速な増加の中で、医療、福祉など増加する高齢人口の問題に対応することが、喫緊の課題となっています。このような超高齢社会の到来の中で、従来の医療制度、老人保険制度では対応しきれない問題が生じてきているのが現状です。
また、かつては疾病構造の中心は感染症などの急性疾患でしたが、 現在では、 生活習慣病、 ストレス病、 心の病が中心となり、 治癒困難な疾病が増加しています。 こうした疾病構造に対しては現代医学だけでは対処できないとされ、 他の医療の活用が求められるようになっています。
また、 生活習慣病などに対しては、 予防が可能であること、 さらに医療において最も重要なことは治療ではなく疾病を予防することであるといわれるようになり、「治療医学」 から「予防医学」・「未病医学」が注目されるようになってきました。
 
世界の現状
 こうした動向は、 欧米諸国においても共通にみられ、 上述した課題に対処するために補完代替医療が医療現場に積極的に取り込まれるようになりました。 最近では、 現代西洋医学 (現代医学) との関係をさらに発展させ、 両者を補完・統合した新しい医療、 すなわち統合医療 を構築すべく、 様々な試みがなされています(図1参照)。

高齢社会における現代医学を補完する鍼灸
統合医療の観点から、東洋医学 (漢方・鍼灸) の有用性が注目されてきた物療法であり、 自然治癒力を治療原理とすることから安全性は高く、 身体にも優しい医療であり、 高齢者医療においてはその活用が期待されています。
①高齢者の半数以上は多様な愁訴に悩み、 複数の疾患を患っており、 2 割以上が日常生活に支障をきたしています。 こうした健康障害を有する高齢者によくみられる 「腰痛」、 「関節痛」、 「肩こり」、「もの忘れする」、 「目のかすみ」、 「手足の動きが悪い」、 「手足のしびれ」 などの愁訴は、 高齢者の日常生活活動を制限し QOL(生活の質)*1)を低下させてしまいます。 現代医学的治療と併用することにより、 愁訴を軽減し、 疾患の悪化を予防し、 自立機能を回復させることが、QOLを向上させ、 要支援・要介護への移行を未然に防ぐことにつながると思われます。

*1)QOL(生活の質 [Quality Of Life])
 「生命の質」とも訳される。どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念。

②鍼灸治療は、 非薬物療法であり、 他の療法と容易に併用できる。 現代医学に鍼灸治療を併用することにより、 単独治療よりも効果的であることは上述した通りです。

③鍼灸治療は、 自然治癒力を治療原理とすることから、 免疫力の低下した高齢者に有効な補完医療です。

自立機能を高め、 QOLを向上させる鍼灸
 高齢期のQOL低下を招いている原因の多くは、 筋力の低下関節の変形認知機能の低下免疫機能の低下によるものです。 これらの問題は、 身体の老化プロセスが大きく関与しています。
一般的にいえば、 高齢疾患は老化を起因としていることから、 治らない・治りにくい疾患です。そのため、 高齢医療ではキュア(医学的処置で治すこと)よりはケア(症状に付随する状況の改善)が必要です。 すなわち、 苦痛を緩和し、 自立機能を支援することがより重要で、 いかに QOLを向上させるかであると考えます。
鍼灸治療は、 高齢疾患に起因する身体的・精神的愁訴の軽減に有効であることについては、 多くの報告の通りで、 疼痛の軽減、 食欲増進、 気分の改善等により全身状態を良好にし、 身体機能の改善を図り、 ADL(日常生活動作)*2)を維持もしくは改善することが可能です。 すなわち、 鍼灸治療は、 自立度を高め、 QOLの向上を図ることが可能で介護予防に貢献することができるのです。

*2)ADL(日常生活動作 [Activities of Daily Living])
 日常生活を送るために最低限度必要な日常的な動作で、『起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容』動作のこと。

長期的な治療に適した鍼灸医療
 高齢者疾患の多くは、 老化を起因とした退行性病変で、 慢性疾患であるため、 長期的な治療を要します。 また、 一人で複数の疾患や愁訴を有することから、 薬物療法では多剤を長期に連用することが多く、 副作用が発現しやすい。 それに対して鍼灸治療は非薬物療法であり、 副作用も極めて少なく、現代医学的治療との併用も可能であり、 安全性も高い。 安全で長期的な治療を必要とする高齢医療において鍼灸医療は適した医療といえます。

さいごに
 中国を起源とする鍼灸医療は、 我が国に伝来されてから約1450年になりますが、 悠久の歴史の中で発展・進化し、 日本の伝統医学として伝えられてきました。 明治以降は、 医療体制の枠外に位置づけられたものの、 国民の健康保持・増進及び疾病の予防と治療に寄与し、 「補完代替医療」 や 「統合医療」 という概念や言葉がなかった時代から現代医学を補完し、 患者及びその家族の生活を支えるという社会的な役割も果たしてきました。
 高齢者の包括的医療として長年の実績を持つ鍼灸医療が未病医療であり、 予防医療であることから、 高齢者医療に貢献できる可能性は高いと考えます。 また、 高齢者が生き生きと日々の生活が送れるように医療的に支援することが重要と考えます。

今回は、 特に高齢者における鍼灸医療の可能性について述べましたが、 鍼灸医療が対象とする分野は幅広いのです。 健康維持・増進や疾病の予防などの予防医学、 運動器疾患や疼痛性疾患、 慢性疾患などの治療医学、 治癒困難な疾患、 末期癌などの緩和医療や末期医療、 さらには心の病や心身医学領域の疾患をも対象としています。 
図1

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